古橋文乃ストーリーズ〜流れ星のしっぽ〜

「ぼくたちは勉強ができない」のヒロイン、古橋文乃の創作小説メインのブログです。

💫星浮かぶ夜に想う彼女について〜古橋文乃レポート〜

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はじめに

 

初めましての人もそうでない人も、こんにちは。わたしは、「ぼくたちは勉強ができない」という、週刊少年ジャンプで連載されていた(2020年末をもって無事完結しました)ラブコメが好きでした。そして、5人いるヒロインの中でも、『古橋文乃(ふるはし ふみの)』というヒロインが特別に大好きでした。連載が終わったいまも、大好きです。少し遅くなってしまいましたが、わたしなりに古橋文乃について思ってきたこと、考えてきたことをまとめてみました。基本的には、「ぼくたちは勉強ができない」を既読の方向けの記事です。読んだことはないけど……という方がいれば、ぜひ原作を読んでいただきたいです。よい漫画ですから、本当に。

 

さて、この記事を読むにあたって、事前に知っておいてほしいことが2つだけあります。

 

一つ目。わたしはここで書いたことが「正しい」「絶対」とは露ほど思っていません。押し付けたいわけじゃない。一個人の考え方として、ああ、こんな見方もあるんだな、と思ってもらえるとありがたいです。

 

二つ目。わたしは、古橋文乃が好きです。それも尋常じゃないレベルで。例えば、文乃の個別ルート(通称「文乃√」)が終わった後でもみたいシーンや物語が多すぎたので、自分で二次創作の物語を書きまくりました。12月だけで17本(一本あたり5,000字くらいの短いものですが)です。この記事を掲載しているこのブログにアップしていますので、興味が少しでも湧けば読んでもらえると嬉しいです。まあ、この情熱、我ながらあほだと思いますが……。お湯が沸かせそう。

 

前置きはこれくらいにして。そろそろ本文に入りたいと思います。

 

※   以下、下記の略し方があります。

唯我成幸……「成幸」と表記
古橋文乃……「文乃」と表記
緒方理珠……「理珠」と表記
武元うるか……「うるか」と表記
桐須真冬……「桐須先生」と表記
小美浪あすみ……「小美浪先輩」と表記

 

⭐️古橋文乃の『枷(かせ』。"決して結ばれない構造"⭐️

 

「ぼくたちは勉強ができない」。主人公である唯我成幸の周辺に、美人が集まっていきます。まず、古橋文乃、緒方理珠。その次に、武元うるか。そして、桐須真冬。最後に、小美浪あすみ。この5人がいわゆるメインヒロインでした。マルチエンドという、ラブコメ漫画では画期的な手法により、5人とそれぞれ結ばれる物語が展開されました(その是非等についてはいろいろなところで議論もありましたがそれには触れないです)。

 

とはいえ、当初はマルチエンドの存在は明らかにされないまま、最初のうるかの物語で全てが収束されるようにまとめられていきました。うるかの告白から始まり、物語が大きく動くな!!と思いつつ、だ。回を追うごとにうるか優勢の流れが徐々に強まるわ、推しである文乃は恋焦がれるあまりに衝動的な行動に走るわ、その結果うるかにめちゃくちゃヒロインオブヒロインの器を見せつけられるわ、挙げ句の果てには、……これが一番ショックでしたが……文乃は成幸に自分の恋を告げることなくうるかと成幸の恋の成就を応援するポジションになりました。

 

文乃の恋の諦め方。わたしは大いに荒れましたよ、ええ。あれだけ恋焦がれた成幸に、文乃は自分の気持ちを伝えることも、成幸に気づいてもらえることもなく、自ら幕を引いた。

 

たしかに、あの時はそうすることに説得力を持たせるような、物語の進行だったのかもしれない。ヒロイン同士をかちあわせることを避けるという大原則みたいなものがあったのかもしれない。メタ的にはそうです。

 

でも。でもね。いち文乃推しとしては、納得できなかった。受け入れがたかったです。恋が報われないことはあり得ます。主人公はひとり、ヒロインは5人。数はあわないのだから。

 

それでも、声を大にして言いたいのは、恋の終わらせ方こそ、ラブコメの価値を決める大看板だと思うのですよね。それが、友達の恋を応援するために、身を引いて気持ちも伝えないというのは。一言で言えば優しい、綺麗な友情の物語とも言えるのかもしれない。でも、文乃の恋を、まさに、心の底から応援してきた身としては、そんなことで、彼女の気持ちが押し殺せるとは思えないし、思いたくなかった。言い換えれば都合よく演じてきた恋に見えてしまった。がっかりしました。


昇華された行動だよね、みたいな論調も見ましたけれど、いやいや。わたしは物分かりがいいタイプではない。現実そうなんだから諦めなよ負け犬くん(笑)と煽られようが、反対に噛み殺してやろうか、というくらいに怒りがおさまらなかった。

 

……はっ。すいません、だいぶ脇道にそれたようですね。

 

あの時の経験はトラウマに近いので、思い出すともう毎回こんな感じになってしまいます。

 

一番書きたいのは、次のこと。

 

今、冷静に振り返ると。さもありなんというか、文乃の物語上の役割は貫徹されたのかな、とも思えるのです。

 

文乃は作中、強い強い『枷(かせ)』がはまっていました。

 

先に挙げます。

 

  1. 恋に落ちている。そのことの自覚の遅さ。
  2. 恋に纏わる苦悩。そのことの共有と相談が『できない』

 

まずは一つ目。文乃は、成幸にどんどん惹かれてしまいます。そのこと自体、自明の理でした。少なくとも読者目線では、成幸への恋ははっきりしている。にも関わらず、文乃がそのことを認めているかどうかは、別問題として扱われていたと思います。結局、作中で本当にそのことがはっきり描かれ、文乃が自分が成幸を「すき」であることを認識せざるを得なくなったのは、問136でした。時間軸で言えば、二月上旬くらいでしょうか。バレンタインの直前です。うるかの海外留学が物語のタイムリミットとして設定されている以上、それまでの決着が予想されている中(かちあわずにうるか留学後の進展となるとあまりにフェアではないし、作風ともあわなさそう)で、これはあまりにも遅いな、ということを直感的に思いました。問136はあまりに素晴らしいエピソードなのですけれど、そんな感想は脳裏をよぎった。補足ですが、文乃の心が成幸にぐぐっと引き寄せられたのは、文乃の長編、問85から問89でした。この後、文乃は成幸のことをより強く意識することになりはするのですが、エピソード的にはかなり不遇だったというか、文乃が一方的に成幸への好意を深める(でも好意は認めない矛盾極まりない状態)話『だけしか』なかったんです。好意を認めるなど、本質的な進展にはつなげられることは、意図的にでしょうが、なかったんです。

 

次に二つ目。文乃は、うるか、理珠という大切な友達が、成幸に恋をしていることを知っている。そして、にも関わらず、成幸に惹かれてしまう自分もいて。そのことを誰にも打ち明けられないまま、ズルズル終盤まで同じポジションでした。これは時限爆弾でした。問136で、完全に着火されてしまい、問143で爆発です。うるかへの嫉妬から、寝ている成幸へのキス未遂。擁護したい気持ちもありつつ、成幸の気持ちを考えずにアクションしてしまったことは、文乃らしくない振る舞いでした。ひとえに、恋焦がれるあまりの衝動的なものなのでしょうけれど。ここまで追い詰められた大きな要因として、ずっと、ずっと、ずうっと、文乃がこの問題について孤独だったことがあったと思います。"成幸のことが好きだ。でも、友達が好きなことも知っているんだ。どうすればいい?"。こういう趣旨の吐き出し方をしておくべきでした。本当に。結局キス未遂がうるかと理珠にもバレてしまい、文乃が成幸に持つ想いが白日の元にさらされることになりました。この段階に及んでなお。文乃はそのことを隠そうとしてしまう。これはもう、レッドカード級の『逃げ』でした。文乃推しといえども、正直失望するほどに。

 

この二つの『枷(かせ)』。文乃が成幸と結ばれる線は、これらが納得できる形で解けなかったので、あり得なかったんです。

 

言い方を変えれば。この二つの『枷(かせ)』が、納得できる形で解くことができれば。クリアできれば、文乃と成幸が結ばれることが可能となる。それが構造的になされたのが、文乃√だったんです。

 

❗️恋に落ちている。そのことの自覚の遅さ。

→問89の後、自分の成幸への好意をはっきり自覚。時間軸で言えば四ヶ月ほど早くなった。

 

❗️恋に纏わる苦悩。そのことの共有と相談が『できない』

→(ぎりぎりではあったものの)理珠とうるかとぶつかり合う決意をし、その旨を打ち明けることができた。

 

もちろん文乃の気持ちだけで足りるものではない。成幸サイドの気持ちの変化も必要でした。これは別途書きます。

 

兎に角、これを構造的なハードルにしてしまっていたのは、構成の上手さといえるのではないでしょうか。

 

ただし、繰り返しますが、文乃の恋を応援する身としては、このひっかかりはずっとあったので、相当なストレスでもあったことは述べておきたいと思います。

 

⭐️古橋文乃の因数分解。似ているふたり⭐️

 

古橋文乃。

 

彼女を、要素だけ取り出してみると。

 

  • 美少女。
  • 黒髪ロング。
  • スタイル良い、ただコンプレックス(貧乳)もあり。
  • 家庭が複雑⇄解決すべき家族との問題あり
  • ブーストがかかるイベントが用意されている(成幸の女心の師匠になるとか、問39の旅館お泊まり回とか、問68の文化祭での着ぐるみ越しのキスとか、問78のお誕生日プレゼントとか、問86以降の成幸宅への半同棲とか)
  • 成幸と文乃、似ている点が多い。
  • ①2人とも父親or母親を亡くしている。この点での共感が関係性の構築にめちゃくちゃ関係してきました。
  • ②お人好し。お互い縁日で迷子を助ける描写あり。
  • ③料理が不得手。成幸も文乃も、物語の終盤でお互い成幸の妹、水希の手ほどきを受けて、料理が『できない』から、できるようになりました。
  • ④久しぶりのデートで、お互いひそかにいちゃいちゃしたいと思ってはいて、でも表立っては言えない。
  • ⑤プールでのデート。お互い相手の為に背伸びをします。文乃は水着姿を見せたい。成幸は泳げないけれど頑張って泳ぎたい。
  • ⑥『愛してる』の交換。言わずもがな、文乃√最後の感動の場面にて、です。同じセリフの受け答え。
  • ⑦告白、想いを伝えたいタイミング。『あのっ……』でぶつかり合うふたりの前のめりな感じの印象の表現が素晴らしかった。

etcetc。

 

5人のヒロインがそれぞれ大変魅力的ではありました。そして、わたしは文乃推しだ。それらを勘案したうえでなお、わたしなりの分析の結果を申し上げるのならば、いわゆる一般的なラブコメ作品で言えば、文乃が結ばれるんではないか?という要素は揃えていたと思うのです。ただ、これは意地悪に近い部分もあって。そういう『ミスリード』を誘うものでもあったのかな、とか考えたりもしました。先に述べましたが、構造的な部分に意識を向けないのであれば、文乃が結ばれるという結論を惹起させそうだな、というイメージに誘導していたのかな、と。

 

いい悪いではなくて、これも作者が仕掛けた一つのフラグだったんだろうな、という印象を持っています。

 

⭐️文乃√における古橋文乃⭐️

 

文乃√の古橋文乃。わたしが一言でまとめるとしたら、『The ヒロイン』。なぜか。つらつらと書いていきます。

 

  • 徹底的な受け身

 

うちに閉じこもりまくりだったので、自分から何か行動を起こす!ということは、ほぼほぼ皆無。成幸から、理珠から、うるかから、彼や彼女たちの優しさだったり激励なくして、行動を起こすことにはなりませんでした。

 

  • 涙の数だけ

 

涙を流す表情がひたすら多かった。悲しい時、悩んでいる時。嬉しい時も。文乃の優しさの裏返し、弱さの表現のようにも思えましたが、過剰なくらいに泣いてました。

 

  • 嘘つき

 

怪我の間サポートするという成幸。怪我が治ってしまえば、成幸は自分のそばを離れてしまうのではないか。それゆえ。怪我が治っていないことにする『嘘』をついてしまった。これは非難轟々でした。自己中心的これに極まれり、ですからね。そういう見方があることはおかしくないです。

 

  • インナースペースに閉じこもる

 

文乃は自分の世界に、言い換えると、自分と成幸だけが存在する世界を大切にしていました。だから嘘もついた。うるか、理珠の存在がある以上、文乃の罪悪感がなくなることはないのです。それを文乃なりに打ち消して、幸せを感じる為には、自分と成幸『だけ』の世界を構築して閉じこもることが一番だったのではないか、と思います。文乃が本当に成幸と結ばれるためには、それを壊す必要があった。その為には、誰かと傷つけあってもでも、本音でぶつかり合う覚悟を決める必要があったのです。

 

いくつか挙げました。

 

これらから鑑みるに、いわゆる古き良きラブコメのヒロイン像に合致しまくっているように思えたのです。あまり詳しくはないのですが、数少ないわたしのラブコメ読者歴でいえば、「めぞん一刻」のヒロイン、音無響子さんに近い。

 

それゆえ、

 

『The ヒロイン』


※ 昔ながらの正統派ヒロインらしいヒロイン。時流にそっているかどうかは別の話

 

という印象になったのでした。

 

これには、成立するための絶対条件もある。

自分のことを恋して追いかけてくれる男の子がいること

です。文乃√だから、というメタな側面は置いておき、別に書きますが、成幸が文乃を好きになったことによって成り立ったヒロイン像だと思います(繰り返すかもしれませんが、最後の最後、友達と戦ってでも気持ちを伝えること、自ら成幸に告白したことがなければ救いはなかったようにも思っています)。

 

Twitter上での評価。最終的には結ばれてよかった!という声多数でしたが、途中まで文乃の振る舞いの評価は散々でした。日頃、文乃を推していて、丁寧に文乃について語りあっていた相互さんたちですら、例えば嘘をついてまで成幸を引き留めようとするのはいかがか、とか、泣くシーンが多すぎて感情移入が難しい、という意見が多くて。そんなことないよ、文乃は最高じゃないか!……とはなり難いことは、よくわかります。さもありなん、です。

 

それでは、わたしはどう評価したのか。あほか、と言われること承知で言えば、全肯定していました。

 

うるかのように、オープンで皆に応援されるような明朗快活でまっすぐな恋。

 

理珠のように、意志の強さで周囲に関係なく揺るぎない気持ちを貫く恋。

 

古橋文乃の恋はそうではありません。文乃の恋は、クローズで、内向きで、周囲への遠慮で揺らぎまくりで、意志も貫けない。まっすぐでなくて、ぐにゃぐにゃ矢印でした。であれば、間違っているのか。

 

否、です。

 

正しい恋なんてあってたまるか。恋のあり様に優劣などあってたまるか。わたしは、強く強く強く強く、そう思っています。

 

好きだから苦しい。
苦しいけれど好き。

 

そういうスタンダードで繊細な文乃の恋がわたしは大好きで、そのあり方は尊重されてしかるべきだと思っているから。

 

繰り返します。

 

よって、文乃√の文乃は、わたしにとってやはり

 

『The ヒロイン』

 

なんです。

 

なお、このためには対となるヒーローである、成幸の観点も同時に必要になります。これはまた、別に譲りたいと思います。

 

※くどいですが、これはわたしの価値観。皆さんの文乃観を否定する気は一切ありません。

 

⭐️唯我成幸のみてきた古橋文乃⭐️

 

文乃サイドからの、成幸への好意の積み重ねはわかりやすい。紹介しようと思えば無限にできてしまうので、ほぼ割愛しますが、少しだけ挙げますね(しゃべりたくてしょうがない)。

 

  • 問39。旅館お泊まり回のラスト、文乃が自分の身体を眠っている成幸に、甘えるように委ねるところ。
  • 問89。いわゆる「起きてる」のシーン。成幸に寄り添われ、成幸に寄り添いたい。ゆえに、成幸の肩へ頭をこつんと預けるところ。

これら2つは、誰もが挙げるでしょうが、それでもやはりわたしも触れないわけにはいきません(文乃推しとして当然もっとないわけではないですが、やはり王道というものはあります)。先に述べた『枷(かせ)』の範囲の中でも、最大限踏み込んだ文乃の好意の発露です。最大瞬間風速は凄まじかった……。文乃√のこの手のエピソードでもオオダマであるこれらのものは、記憶に残るを超えて、心に深く強く刻まれていますよ、わたしには。初見の感動、何度も読み込んで考えたもろもろ、いくらでも語れてしまいます。

 

……はっ。また話が脱線しかけました。

 

すいません。しかし、文乃についてわたしがいろいろ説明をし始めて横道に逸れないわけがない(伝えたいことが多すぎるという意味)ので、ご容赦。

 

この項の本題は、成幸サイドの話です。唯我成幸は、古橋文乃をいつ、どうやって、好きになってしまったのか。それについて考えたことをつらつら書きたい、ということです。

 

文乃√より前では、成幸→文乃の好意がはっきりわかる描写はありません。他ヒロインに対しても同様といえばそうです。大枠として、


✔︎問1から問141は共通ルート
→各ヒロインが成幸への好意を積み重ねる描写に力点をおいたパート
✔︎(それ以降)各ヒロインの個別ルート
→成幸が各ヒロインへ想いを寄せる描写に力点をおいたパート


という構図です。

 

一点補足するならば、各ヒロインの個別ルートによっては、共通ルートの出来事にも影響はあるという点です。


例え①。問136の有無。うるか√であれば、
問136、文乃、恋心認識。

問143、文乃、成幸への恋心が強すぎるあまりキス未遂。


例え②。センター試験以降の流れ。センター試験当日、うるか√では子犬の身代わりに雪で怪我した成幸を助けたのはうるか、文乃√では子犬の身代わりに怪我しかけた成幸を助けて反対に怪我をしたのは文乃。


などなど、です。

 

では、成幸→文乃の好意の話に戻ります。

 

恋に落ちたのは、
①いつ、
②なぜ、
なのか。

 

まずは、①いつ、なのかについて。

 

これは……自分の解釈でいいとはいえ、結論を出すのは難しいんですよね。なぜなら成幸サイドの心理描写が少なすぎるから!考える際の試行錯誤の順序を書き殴っていきたいと思います。

 

まず、🪵材料その1。

 

少し壮大になってしまいますが、

  • 大まか文乃√の時系列を並べる
  • 転機、または、転機になったと思われるポイントで補足(⚠️マーク)

という整理をひとまずしてみます。

 

4月 文乃と成幸出会う
8月 文乃と成幸旅館で一夜共に過ごす
9月 文化祭ジンクス発生
10月 文乃、成幸の尽力もあり進路問題決着
(年明け)
1月 センター試験当日文乃怪我、以降、成幸が文乃のサポート開始 ⚠️1⚠️
2/14 バレンタイン
2/25 本試験
3/5 合格発表。うるか告白も成幸断る  ⚠️2⚠️
3月中頃 卒業旅行 ⚠️3⚠️
3月中旬 卒業旅行帰宅後。文乃告白。成幸告白。結ばれる。⚠️4⚠️

 

⚠️1⚠️
サポートしていく中で一緒に過ごす時間は増えます。もともと持っていた文乃への好感(この時点では好意とは別)に、積み重なった出来事により好感がぱたぱたっと好意に変わっていったということはありそう。

 

⚠️2⚠️
うるかの成幸への告白は、うるか√、文乃√どちらも発生しています。文乃√であれば、うるかへの告白に対して、その場で成幸は断りをいれます。この時点で成幸の気持ちははっきりと文乃に寄せられていたとは言えそうです。直前、成幸くん『が』いいんだよ、のイベントあり。

 

⚠️3⚠️
問165&問166で、成幸サイドの内面、どれだけどうしようもなく恋をしているのか、はじめて明確に描かれます。なお、問166冒頭で引用される成幸の文乃への好意の断片的に表現するものとしては、文乃のサポート後の出来事が引用されています。

 

⚠️4⚠️
成幸も文乃同様、自分の気持ちにブレーキをかけていたものの、うるかの叱咤激励により、文乃に気持ちを伝えることを決意しました。

 

🪵材料その2。

 

ここで、視点を一つ足してみたいと思います。文乃が憧れを持たれ、同時に文乃も憧れた、文乃にとって本当に大切な友人。緒方理珠です。

 

文乃が理珠の叱咤激励を受けて、うるかの、そして成幸のもとへと向かったのちの、独白です。

 

本当はあなたを
土俵になんてあげたくありませんでした
だって私はずっと
成幸さんとあなたをずっとずっと見ていましたから
わかりますよ……
『それ』くらい

 

もう一つの恋の、静かな結末。そこから見える、文乃と成幸の関係性も、一つのポイントだと言えそうです。この回想で挿入されたのは、成幸くん『が』いいんだよ、のシーンでした。おそらく、推測が含まれてしまうのはご容赦、理珠には、当人同士よりも、わかってしまっていたのかもしれません。『それ』=[x]=想いあっていること。物語のスタートは、成幸、文乃、理珠でした。彼ら3人の関係性もまた、文乃の物語を紐解くうえでは決して欠かすことのできないピースだと思います。

 

🪵材料その3。

 

問166冒頭の、文乃への恋を自覚してしまった成幸の、回想。

  • 「恋人同士みたい」って言ってくれたらいいのに
  • 成幸くんへのチョコなの
  • 成幸くん『が』いいんだよ

いずれ劣らぬ名場面です。成幸が好きであることを自覚しつつ、攻めたアプローチはできない(うるかと理珠問題)文乃が、恋心を隠しきれないところ、ですよね。これ、いわゆる女心の練習問題みたいだと思いませんか?憎からず思っていた女の子からの、無意識のアクション。男の子として、ぐらぐら心が揺れないわけがないのではないでしょうか。そして、三番目の、成幸くん『が』いいんだよ、の特別感が、やはりあります。憧れる父親の背中。追いかけるものの遠いな、と弱音を吐く自分に対して。君は、君だけ、君なんだ。そう、完璧に自分のことだけを定義してくれる励ましの言葉。自分のことを見てくれていた人でなければ、その意味をなさない言葉は、成幸にとどめをさしたのではないでしょうか。事実、このあと、これからも色々相談に(のってほしい)……ということを成幸は文乃に伝えかけています。何の相談か、それは、最近気になる人がいる、というものでしょう。この時点で告白しちゃえよ成幸!!と思わないでもないですが……まあ、それはそれとして。

 

以上の🪵材料3点から考えるに。成幸が、いつ、文乃を想う恋に落ちたのか。それは、

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成幸くん『が』いいんだよ

 

の直後だと考えています。

 

つぎに、②なぜ、なのか。つまり、なぜ文乃なのか、ということ。

 

成幸と文乃の関係性。見方を変えてみました。成幸が、他ヒロインにない、文乃に求めた関係性はなんだったのか。好きになり、恋に落ちた。これは一番シンプルな方程式です。だが、ほかのヒロインにはない文乃が持っていた何かに成幸は惹かれたはずなんです。それがなければ、個別ルートの意味はないのですから。それを考えたいと思います。

 

例えば、共感、共振、共鳴。こんな単語がぱっと思いつきました。どちらも大好きな親を幼い頃に亡くしてしまい、少なからず辛い思いをしていて、そのことを分かり合える間柄です。それは、成幸が文乃の心の大切な部分を優しく包みこむことにもつながることになり、成幸と文乃の間柄に、『共感』という単語はとても馴染むな、と感じました。

 

次に、応援、という観点。教育係として日々頑張る成幸に、文乃、理珠、うるかは助けられていました。そんな中で、夢がないという成幸に対して、文乃は成幸に夢ができた時には『応援』するよ、と告げます。これは結構、特異なポジションになったな、と思えました。成幸は文乃の夢を応援する。文乃も成幸の夢を応援する。その関係性が、他ヒロインに先駆けて成立したわけですから。

 

さらには、君の『隣』。成幸と文乃にとって、非常に大切なキーワードかつ関係性だと考えています。成幸と文乃は、隣に座っている印象的な構図がとても多い。学校のよく使っているスポットで文乃が女心を説くときもそう。問24、付き合っちゃう?のときもそう。問39、旅館回で語り合っている時も布団で並びあっている時でした。問88、2人で星空を並んで見ている時もそう。問89、「起きてる」前後、ベンチで並んで座っている時もそう。文乃√でいえば、文乃が恋に落ちたことを認識したのも、この隣り合っていたときです。成幸くん『が』いいんだよ、のときも。成幸が自分にいま気になる女の子がいると相談したときも。そして。問168、文乃√、最後のシーンです。キスをして、愛を語り合うところ。ここも、ベンチで隣に座っているとき、でした。

 

もう一つ、成幸の文乃への告白と連なる言葉を補足します。

 

これから先
俺がずっとそばで
古橋を支えてみせるよ

 

ここから得た、わたしなりの、なぜ、の回答。

 

成幸は、一緒のペースで歩き続けて、成長していき、寄り添いながら幸せにしたい、それが文乃への特別な感情になったから。教育係、女心の師匠、姉と弟、そして。恋人として。変わり続けるふたりの関係性。恋人から夫婦、そして、子供ができて家族になってからも、ずっと一緒に、支えていきたい。だから、きっと、成幸は文乃に恋をしたんです。

 

⭐️成幸への恋が叶わない世界線で文乃に望むこと⭐️

 

うるか√最終話の文乃。文乃が成幸と結ばれることはありませんでした。しかし、数年がたって、彼女は、まっすぐに自分の夢、星に関わって生きていくことを目指せていました。まぶしかった。恋が叶わずとも、前は向けます。夢だって、大学に合格して終わりでは当然なくて、スタートでしかないなかで、文乃はしっかりと歩き続けていたんです。これがはっきりと描かれていて、ほっとしたのが正直なところです。

 

新しい恋について。わたしは、してほしいと思っています。心からの願いです。成幸に恋をする文乃が好きでした。しかし、成幸と結ばれないなら、恋はもうしないでくれとは絶対に思わない。成幸のことは大切な思い出として心の片隅にとっておいて。違う誰かを好きになって、恋をして、大切にしてもらって。何よりも。何よりも、だ。幸せになってほしいんです。さらに望みを言うならば。もう、苦しんで涙を流すような、辛い恋はしないでほしい、とも強く思います。明るい恋をしてほしい。

 

語彙力の無さを露呈させますが、それでも繰り返します。

 

わたしは、どんな世界線であっても。たとえ恋が叶わないものであっても。

 

文乃に、幸せになってほしいです。

 

それでも古橋文乃が好きだ

 

おわりに、のインデックスに変えて、最後にもってきたい言葉を並べました。

 

「ぼくたちは勉強ができない」。

 

楽しんだんです、本当に。とっても思い入れがあります。楽しみ方には、いろんな形があっていいと思います。わたしの場合は、登場人物たちに人格の付与までしてしまったような気がしています。表現が難しいのですが。存在を尊重したい、というのか。大袈裟に言えば、彼らの心の在り方そのままを大切にしてあげたい、ということです。

 

とりわけ、古橋文乃が好きだった!

 

シンプルな疑問。なぜか。

 

彼女の恋をしている横顔に、わたしは心を奪われたからです。

 

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問39。旅館お泊まり回。自分の手を優しく包み込んでくれた成幸の手。眠る成幸の真意はわからない。戸惑いもあったでしょう。それでも、文乃は成幸に身体を預けた。その瞬間、無意識で、自覚はなかったにせよ、わたしには、文乃が恋に落ちたように感じたんです。視覚情報だけじゃない。時計の針の音。夜の匂い。人間の熱。心臓の音。そういうもの全部が、わたしに教えてくれたんです。

 

 

 

 

 

 

 

 


美しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


その時から、わたしは文乃を応援しています。そして、文乃の幸せを祈っています。

 

あなたは古橋文乃のなんなんだ、と言われれば、友人ですと即答したい。ひたすら文乃の恋を応援したいし、悩み相談にものりたいし、時には怒りながらも涙とともに叱咤激励だってしたい。理解して、寄り添いたいんです。

 

文乃は生き方が不器用です。その優しさは弱さにもなってしまう。自分の世界にも閉じこもってしまうことさえ、あります。

 

でも、それも全部文乃なのだから。全部受け止めなければ、文乃が好きだというわたしの言葉は全て"嘘"になってしまう気がして。

 

だからわたしは肯定する。古橋文乃のありのまま、全部。

 

それがわたしの哲学だ。

 

バカですよね、アホですよね。この情熱のもっていき方が間違っていると言われれば、ですよねー、という気はします。でも、何かを本気で好きになることは、ひたすら楽しいですよ?

 

数多ある物語の、ヒーロー、ヒロインたち。

 

その中で、古橋文乃に出会うことができた。

 

僥倖ですよ。

 

この自分の幸せを疑ったことはありません。

 

だから、わたしは、古橋文乃が好きです。心の底から。

 

そのことが少しでも伝わればいいな、と思いつつ、そろそろしめたいと思います。

 

拙文&長文、ここまでお付き合いいただきありがとうございます。

 

願わくば、皆さんにも幸せな物語との出会いがありますように!

 

(おしまい)