古橋文乃ストーリーズ〜流れ星のしっぽ〜

「ぼくたちは勉強ができない」のヒロイン、古橋文乃の創作小説メインのブログです。

さとうは[x]の道筋に懊悩し驚嘆し感涙し歓喜するものである。(エクストラ)

古橋文乃の恋の行方。


いばらの道。


詰んでいると言ってもおかしくない、状況。


そんな中で、考えたこと。


○古橋文乃の「恋熱」


彼女の恋の熱量。どんなもんでしょうかね。数値化できるものではないので、なかなか定量的な比較が難しい。


一つ確実に言えるとすれば、それは積み重ねられ続けている。ずっと恋の熱量は、高くなり続けているということです。


文乃の場合、加熱させる要因もあると思うんですよね。それは、熱を無理やり冷ましにいくこと。高まったあとで、ほぼすべてのケースでごめんねと理珠とうるかに謝ります。でも、これはただちにクールダウンにつながるわけではなくて。それは、無理やり押さえ込んでるだけに過ぎない。


これが漏れ出してしまったのが、問136の文乃の恋心だったと思います。隠せなくなり、認めざるを得なくなった自分の恋心でした。


一方、文乃ルートでは、それはより健全な方向になっていると思います。アクセル強めに、ブレーキは弱めに。ただ後述するように、バランスがぶっ壊れてしまうほどではない(=なにか決断が必要な状況になったわけではない)ということですが。


文乃のアクセルとブレーキ。なんなんでしょうか。まずはアクセル。これは、怪我と嘘、です。最初は意図しない怪我だった。でも、そのことで成幸は自分の近くにいてくれるようになった。それは文乃にとって本当に嬉しいことで、多くの幸せを感じることにもなりました。そして。その状態を持続させるべく、彼女は嘘をつく。ここでもその良し悪しに言及はしません。ただ、アクセルの踏み方を考えると避けては通れない部分だ、ということです。


一方のブレーキ。こっちはさらにシンプル。うるかや理珠の成幸への恋を応援したい気持ちです。成幸への想いが募り続ける中でも、そのことへの遠慮はずっと消えませんでした。さらにアクセルを踏もうとすると、そのブレーキがかかる。この繰り返しは、鉄板でした。


書きたいな、と思ったことがもう少しあるので、書き連ねます。


さて。文乃は、成幸に、自分のことを好きになってほしいと思っているのでしょうか?


問35。そう文乃に尋ねられたうるかは、好きになってほしいよ、と即答でした。


文乃もキレイだと言われたい、というのは問161でありましたが。


その先の話です。例えば。結婚をイメージしたあと、打ち消しにかかるんです。二つの要素。

①うるか、理珠のこと。友達の応援のこと。

②成幸は自分への好意は多分ないだろうと思うこと(いま一緒にいるのは怪我のことがあるから…だよね?)


もしも。成幸が文乃に告白するようなことがあれば、どんなリアクションになるんでしょうか。


それでも、うるかや理珠との関係を考えてしまうのでしょうか?…考えるんでしょうね、引っかかるんでしょうね、優しい彼女のことですから。素直に告白を受け取れないでしょう。


言い換えると。成幸から文乃への好意が仮に今後はっきりしたとしても。文乃はうるかと理珠への信義を通さなければ、心の底から文乃は成幸と結ばれることは、自分で許さないのではないか、ということです。


ますます、わたしには、友情が呪いのように見えてしまいます。ええ、表現が直截すぎるのはわかってます。


恋の熱が高まるだけではダメで。それではバラの刺は刺さったままなんです。


おまけ


恋熱は、こいねつ、と読みます。造語です(笑)二文字で切りよくかっこよく揃えたかったので。


○古橋文乃の「天秤」


彼女は、秤にかけ続けています。


友情と、自分の恋と。


ずっと、はかりかねている。


どちらの価値も。


だけどその秤は動かない。


だから、古橋文乃は選べないんです。


彼女が変わらない限りは、絶対に選べないと思います。なので、後述のような一つの区切りになってしまったんです。


変化とは。価値を見定める目。どちらかを選ぶ覚悟を持つことです。


すぐにどちらを追い求めることはできませんが(悪い言い方をしますがあとから友情を回復させることはできるかもしれない…うるかの包容力なら)、上に挙げた2つが揃えば、自分の中で前に進むことは出来るんです。


どちらも選べずに、涙を流すこと。誰一人傷つけない。


だけど。


深く深く自分を追い込み、傷つけ、その後に残るものもまた重い。


自分が変わることで、違う可能性を掴み取って欲しいんです。


おまけ


文乃はてんびん座のA型です。なので、天秤のキーワードを無理やり使いたかっのです(あほ



○古橋文乃の「墜落」


問164、ラスト。


受験が終わったら、好きな人に告白する。そう宣言したうるか。


うるかは、成幸の前にあらわれます。成幸が、文乃に、繋がりがまだ続くかもしれない、そんな期待を抱かせかけた途中で。


文乃は、うるかがそこにくる意味を知っていて。そこに割って入る勇気も覚悟もないのだから。逃げ出すしかありませんでした。


崩れる思考たち。


うるかを応援してきたことを。


成幸から聞きたかった言葉を。


いつかくることはわかっていた「破綻」を。


武元うるかが、成幸に想いを告げる。


その言葉を聞きながら、文乃は「墜落」します。崩れ落ちるでもいい。


彼女の涙はとまりません。


成幸との関係が、その全て、完全に終わってしまった。


そういうふうに、文乃が定義づけたからです。自分の恋を、ささやかな願いを、自分から投げ出してしまったからです。


文乃ルートだよ、というメタ論がなければ、わたしはこれが文乃なりのエンディングだよ、と言われたらしょうがないかもしれない。そう思えるくらいにはリアリティがありました。(納得できるか、消化できるのか、と言われればそれは全く違いますが…)


○古橋文乃の「再生」


どうすれば、いいんでしょうか。


彼女の恋の行方は。


それだけでなく。


どん底からの彼女の心の再生は。


文乃には、間違いなく変化が必要なんです。


うるかは告白できる勇気を持ち。

理珠は感情がわかるようになり。


一方で古橋文乃は変わらない。ずっと友達思いで優しくて。だけどその実自分を殺し続けて。嘘をつき、ごまかし、目を逸らしてきた。向き合ってこなかったんです。


自分が成幸を好きなこと。それを認めるだけじゃたりない。


そのことで古橋文乃はどうしたいのか。


実はこれが一番わからないんです。


文乃は、この点、本当にお姫様ポジションだと思っています。


こと恋愛に関しては誰かに何かしてもらうのを待ち続けているようにしか見えませんからね。期待はしている。気を引くこともする。だけど、根本的な問題解決はしない、できない。王子様のアクションを待っている。


変化して、再生して、行動してほしい。端的に言えばこれがわたしの願いです。


さらに踏み込んで言うなれば。


成幸と結ばれたいと。そう腹をくくってほしい。


まずそこがきちんとなければ、すべては始まらない。


成幸が好きで、恋人になりたい。


なれば。バッティングしている友達にはそのことを告げるべきだし。


成幸に対しても誠実に向き合わなければならない。


やはり、ここが再生のためのスタート地点になりそうですね。


そして。


行動をしてほしい。自分の気持ちを、まっすぐに届けるために。


おまけ


問89話で、零侍が静流の動画を再生するために、再生ボタンを押します。そこのシーンと合わせて、文乃と成幸が並んでいて。零侍と静流の二人の物語が、成幸と文乃にも繰り返される、そんなことを思いました。


以上、徒然でした。

毎回がクライマックスだし、それぞれがエンディングになってもおかしくない構成だな、と思っています。

いまはただ、目の前の物語を追い、自分の言葉で感じたことを表現していきたいと考えています。

この項、以上です。