古橋文乃ストーリーズ〜流れ星のしっぽ〜

「ぼくたちは勉強ができない」のヒロイン、古橋文乃の創作小説メインのブログです。

さとうは[x]の道筋に懊悩し驚嘆し感涙し歓喜するものである。(8/9)

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一言総括。彼と彼女の恋に、心から、祝福をさせてください。

 

【なぜ、古橋文乃だったのか(さとうの場合)】

 

ぼく勉。絵がかわいくて。久々にラブコメ読んでみるかな、と思ったんです。当初は、どのヒロインに報われてほしいのか、みたいなことは考えていませんでした。そんな読み方をしていても、あとから後悔するだけだろう、そんなことを思っていました。

 

勉強合宿後の理珠と成幸の事故キス回あたりからでしょうか。

 

古橋文乃。うるかと理珠の成幸への気持ちに気付いて、2人を応援しつつ、成幸の女心の師匠枠へ。おいおい。貴女はどこへいくのよ、損な役回りばっかりじゃん、と。

 

少しずつ、成幸に惹かれてしまう文乃。むべなるかな。

 

成幸は優しい。寄り添う。文乃の心の柔らかいところにも。

 

結果…文乃は恋をします。

 

丁寧なエピソードが好きで。少しずつ、成幸に心を寄せていく文乃の心模様が、素晴らしかったんです。

 

問58の台風回はかなり好きでした。唯我くんと、成幸くん呼びが混ざっていて、文乃の成幸との心の距離感がよーくわかります。気になった人には読み返してもらいたいです。

 

好きなエピソードばかりなのであまり多くは語りませんが、そのなかで感じた思い、その全てがわたしの宝物です。

 

だから、わたしは古橋文乃推しになりました。

 

彼女でなければ、いけなかったんです。

 

【なぜ、古橋文乃だったのか(唯我成幸の場合)】

 

さて。もっと、なぜ古橋文乃なのか、掘り下げなければいけない、男の子がいます。

 

唯我成幸。

 

彼女と目が合うと

顔が熱を帯びるのがわかる

彼女の声で名前を呼ばれると

その都度胸が締め付けられる

触れたら折れてしまいそうな彼女の佇まいに

いつからか俺は

どうしようもなく

「恋をしているんだよ

 成幸くんはその人に

 どうしようもないくらい」

途中のエピソードで挿入された、本当に珍しい、成幸の心の裡。

 

まー、べた惚れ、ですね。びっくりするくらい。成幸が、ここまで恋に落ちていたとは。

 

回想がいくつか挿入はされていますが

特別なきっかけは触れられていません。わたしは、いつのまにか恋に落ちていた、というのがむしろ自然な気がしているので、これでいいのかな、と。もちろんいろいろ考えはしたんですけどね。

 

文化祭の着ぐるみキス後、珍しく成幸が文乃との関係で動揺した時。ジンクスの相手がそのまま文乃でもあり、意識してしまうスタートとしてはありかな、とか。

 

文乃長編の起きてる、の時。成幸の回想でも、文乃の服装的には合致するものが。好きとかそういうことを考えてこなかった(でも仲の良い)異性からの突然のアプローチ、男の子としては結構ありなのかな、とか。

 

文乃への個別最終ノートを書いている時。もともと文乃の好感度はすごく高くなってしまっていて、そんな頃に文乃のことを思い返しながら考えてしまい、相当に文乃のことを意識してしまったんじゃないか、とか。

 

まあ、結局のところ。

 

そのことが、どこだったとしても、成幸は文乃を好いて、彼もまた、気持ちを伝えます。

 

俺も好きだよ

古橋

しっかりしてるところも

優しくて寂しがり屋なところも

星の話をすると止まらないところも

たまに怒ると怖いところも

古橋文乃の全部が好きだ

 

各エピソードでここに対比できるのかな、というところがなんとなく思い浮かびます。文乃と積み重ねたいろんな思い出が、成幸の文乃への想いを形づくっている。丁寧な演出です。

 

古橋文乃の全部が好きだ

 

というシンプルな一言は特に良いですね。素敵な告白でした!

 

【古橋文乃の勇気】

 

文乃が前へ踏み出すために、ずっと必要だと思っていた、勇気。

 

成長した理珠による叱咤により、目を覚まします。熱い展開。

 

この勇気、大きく見せ場は2つある。

 

一つ目は、なんといってもうるかに気持ちをぶつけること。ずっとこの展開は待っていた。これがなければ、文乃はずっと、ずうっと踏み出せなかったから。

 

もう言い訳して

逃げ続けて

「大好き」な気持ちから

目を背けるのはいや

だから…ごめん

戦うよ

 

言い訳というのは。

 

成幸への想いを積み上げるたびに心の中で呟いていた、

「ごめんね、りっちゃん、うるかちゃん」

ですよね。

 

この言葉を呟くことで、文乃はその度に背負い込んでいました。好きになれない自分と。弱い自分と。向き合えない自分と。友達の強さを信じようとしなかった自分と。

 

逃げ続けていたんです。

 

それでも。戦うことを決めた。大きすぎる、成幸への「大好き」。文乃はその気持ちを伝えたい。

 

誰かへの言い訳や罪悪感を払拭するためじゃない。

 

自分が傷つくかもしれない。

友達を傷つけるかもしれない。

 

それでも、うるかとも向き合った、文乃の勇気。輝いてみえました。

 

もう一つの見せ場は、なんといっても成幸への告白です。これはまた後ほど。

 

【武元うるかサイド】

 

わたしは正直うるかのことが少し苦手です。なので、彼女の心境を上手に文章に起こせる自信はない。それでも、今回そのことをしなければ誠実ではないと思うので、頑張ります。

 

武元うるか。

 

言わずと知れた、成幸にずっと一途に恋をしてきた女の子です。彼女の純真さは眩しいものでした。想いは揺らぐことなく。うるかもぶれることはなかった。ずっとその大切な気持ちを抱えて。受験が終わったその瞬間に見事!成幸に想いをぶつけました。

 

うるかの告白は、うるかがいろんな葛藤を乗り越えて、勇気をもたなければできなかったもの。でも、それを自力でなしとげるんです。うるかの芯の強さが、素晴らしいんです。

 

この辺りは文乃とは対照的でした。

 

卒業旅行のあと。文乃がうるかの元へ駆けつけたとき。文乃がうるかに告白した、戦いたい意志表示。それに対して。

 

「…うん、知ってた」

 

わたしは、この言葉に、いろんなニュアンスを感じています。

 

いくつかある。

 

一つ目。文乃の成幸への好意。

 

告白直前に成幸と一緒にいた文乃の不自然すぎる去り方。

 

うるかの告白を察して去るにしても、あの慌てぶりは相当なもの。

 

成幸への気持ちがなければ。ああはならない。

 

二つ目。成幸の文乃への好意。

 

これは確たる描写がなく推測だらけになりますが。

 

うるかの告白を成幸は断ります。他に気になる人がいるんだ、と。

 

多分うるかの性格的には、告白で本当に一区切りだったと思うんです。

 

でも、成幸の想い人が誰かは察した。

察していたのではなく、その時に気付いたというか。

 

告白直前の成幸と文乃の2人の雰囲気。その後の成幸の視線とか。成幸のことをずっと追いかけてきたうるかだからこそ気づけたことというのはたくさんあったと思います。

 

だからこそ、成幸に怒っていたのは自分を言い訳にして一向に文乃にアクションしないこと。

 

そんな成幸をうるかもまた叱咤していて。

 

おそらく文乃と向き合うだろう。そう思っていた矢先の文乃の訪問。

 

想いあっているだろう、文乃と成幸の、気持ちが通い合おうとしている。

 

自分の恋が終わり、違う成幸の恋が始まろうとしている。

 

そのことも。

「うん、知ってた」

に集約されているような。

 

大袈裟ですが、そんなことも考えています。

 

その上で戦ったこと

あたしは後悔してないかんね

 

この言葉は、そんな推測をさせてくれる根拠でもありましたが、それ以上に、精神的に強いうるかの象徴です。素晴らしい。

 

ムッカつくけど…

よく似てるよ

2人とも…

 

ため息とともにうるかが考えていたこと。

 

2人とは成幸と文乃のこと。

似ているのは、いくつかある。

一つは、戦うことに檄が必要な優しさがあること。言い換えると臆病でもあるということ。

もう一つは、好きな気持ちを押さえ込んでしまっていること。お互い気持ちを伝えたいのに伝えようとしない姿勢はもどかしいにもほどがあります。

さらに一つは、うるかを大切にしすぎていたこと。成幸も文乃もうるかに気をつかいすぎていた、という言い換えもできる。あたしはそんなに弱くないよ、というのがうるかの偽らざる本音でしょう。

 

武元うるかの激励。

 

彼女のこれがなければ、文乃ルートで、成幸と文乃が走り始めることはありませんでした。2人にとって、うるかが大きな存在であったことの証明であったとも思うのです。

 

失恋ごときで

勝手に不幸なうるかちゃんにされちゃ

たまらないっていうの

 

うるかのスタンス、皆さんいろんな思いがあって当然かと思いますが、わたしは称賛するしかありません。

 

【古橋文乃の「告白」】

 

表現する言葉はあまり見つからない。

 

言葉でなく感情の反応なら言える。

 

何度読んでも、わたしの涙腺はダメ。ぼろぼろになりそうです。

 

それでも感想は書いてみるのですが。

 

成幸の元へ駆けつけた文乃。

 

お互いが見合って言葉をかけようとします。

 

切り出したのは、文乃。

 

北極星って知ってる?

 

語られる北極星の話。変わりゆくその星を。

 

その次は。男の子の話。自分の中で変わりゆくその子のことを。

 

少しずつ変わっていったんだよ。

いろんな積み重ねた思い出とともに。

 

そんなあなたのことが。今は…

 

『世界でいちばん

 好きなひと…っ』

 

勘弁してほしい。いちばん文乃が伝えたかったその気持ち、最短距離で成幸に届けるまっすぐすぎる言葉。

 

ずっと好きで、だけど辛くもあり、だけどやっぱり好きだった。

 

そんな、文乃をずっと見てきたから。

 

涙をぼろぼろ流しながら気持ちを伝える文乃の姿は特別で…。

 

うん。

 

わたしもその涙に引きずられるしか、ありません。

 

成幸が自分の北極星であること

自分のまん中に居続けてくれたこと

成幸が誰を好きでも、誰が成幸を好きでも、自分は成幸が大好きなこと

好きすぎて…苦しいこと

 

その全部。成幸に届けられる、文乃がずっとずっとずうっと伝えたかった想い。

 

それは、成幸にも強く強く届くことになります。

 

【天の光、地上の光】

 

天の光に満ちた場所で。

 

成幸は、地上の星を用意していました。

 

星が大好きな文乃のために。

 

本物の星が見える場所と。

自分が出来る最大限。

 

成幸の、文乃の好きなものでいっぱいにしてあげたいということなんだと思っています。

 

好きな女の子のために、何をしてあげたいのか、どうすれば喜んでくれるのか。

 

成幸らしい答えだと、わたしは思っています。

 

【君に届け】

 

好きな人に思いっきり

「好き」と言えて

好きな人から

「好き」と言ってもらえて

たったこれだけのことなのに

天文学的な奇跡のように思える

 

少し飛び飛びになりますが、文乃の告白と対をなした成幸の告白。

 

そこから一つ踏み出した、成幸の言葉。

 

これから先

俺がずっとそばで

古橋を支えてみせるよ

 

文乃ルートの、冒頭と重なる言葉。でも、もう、時間の限定はありません。これから未来、ずっとその先の、もっとその先の、一緒にいることの表明なんです。

 

【言質とったからね、「先生」】

 

問2←→問167

 

どちらも、

言質とったからね、「先生」…!

です。

 

問2は、今現在の、教育係としての成幸を指していて。

問167は。直前の成幸の文乃をずっと支える発言を受けて。成幸の夢である「先生」も含んだ未来の成幸を指している。

 

そんなニュアンスの違いをわたしは感じています。

 

【文乃の泣き顔、そして、笑顔】

 

問147。恋をあきらめるために笑った文乃。

問167。恋をあきらめないために泣きながら告白する文乃。

 

このコントラストは…凄いです。おそらく計算されてると思いますが。わたし、問147では打ちのめされたので、その分感慨深くもあります…

 

【贈る言葉】

 

古橋文乃さま。

 

貴女を、応援してきました。

 

綺麗に笑っているときも。

やきもちで怒っているときも。

一人で涙を流しているときも。

彼に恋に落ちたときも。

 

貴女は感情豊かで、素直でした。心の内側が、表情としていつも出ていて。

 

眩しかった。

 

貴女が想いを込めたチョコレートを渡せたとき、わたしは嬉しかった。彼への気持ちを伝えたくて、伝えたくて。ハードルは高くても、なんとか届かせたから。

 

彼から相談を受けて、自分とは違う女の子のことだと思い込んだ貴女が、綺麗に笑ったとき。わたしは、貴女を応援し続けて本当によかったと、心から思いました。その優しさは、本物で。誰でもが持てるものではない。貴女だから。優しいゆえに、笑えたんです。

 

友達の激励を受けて走り出したとき。前しか見ていない貴女は、勇気に満ちていました。ずっとわたしが貴女に備わっていればいいな、と思った勇気が。強くなってくれて、誇らしかった。

 

ボロボロになって彼のもとにたどり着いたとき。迷うことなく、到着しました。忘れることのできない、約束の場所。まっすぐに、まっすぐに、まっすぐに。届いたんですね。

 

貴女は泣き虫です。感情豊かで、繊細で。たくさんの泣き顔を見せられました。胸が締め付けられて…辛かった。

 

気持ちを。彼に。伝えたその瞬間もまた。貴女は、涙を流していました。

 

どれだけ好きだったのか。

どれだけ辛い想いもしてきたのか。

 

知っているから。応援してきたから。

 

わたしもまた、泣いてしまいます。

 

泣かないで、と声をかけたくても…自分も泣いてしまっては、だめですね。

 

貴女と彼の想いが通い合い。なんだろう、何というか。わたしはやっぱり、泣くことしかできません。泣き虫は伝染します。それが幸せなものだったとしても。

 

自分ではない誰かの幸せが。

これほど胸に響くこと。ありません。そんなことが、これ以外にあってたまるか。

 

祝福します。

 

泣き虫な貴女を、わたしも顔をぐしゃぐしゃにしながら、祝福します。

 

大切にしてきた貴女を、スマートではないけれど、不格好な言葉で祝福します。

 

古橋文乃の全部が好きでした。

 

もちろん、唯我成幸くんとは異なるベクトルですが。

 

優しくて、すこし頼りなさそうで、でも懐が深くて、寄り添う成幸くんは、貴女を、幸せにしてくれます。きっときっと。確信しています。

 

ずっと。貴女はわたしの心の中に居続けるでしょう。

 

思い出すたびに、貴女の幸せを、心から、祈ります。

 

貴女の恋を追いかけてきて…よかった。こんな結末がまっていて…よかった。

 

わたしを幸せにしてくれて。

優しい気持ちを教えてくれて。

 

ありがとう。

 

お幸せに!

 

黒ざとう

 

 

この項、以上です。最終回を…ドキドキしながら。待ちたいと思います。