一言総括。繋ぐ手が本音を語る。
ファーストインプレッション。お話が急展開しましたねー、、、さとうはびびってます。すごいな。
起承転結といいまして、物語の基本ですが、そろそろ「転」だろうな、とは思っていましたが…まさかまさか。
成幸の想い人が、「古橋文乃」だとは。
ここでこれをぶっこんでくるかあ。
もう、これに尽きました。
古橋文乃の「嘘」
吹雪の中の山小屋。身を寄せ合う、文乃と成幸。
古来より、寒さの中で身体を寄せ合うと素直になると言われます(さとう調べ)。
ここ以降のシーンでも、それが存分に生かされるわけですけれど。
ここでは、まず、文乃が自分の「嘘」。これを告白します。
…ごめんね
ほんとは
もっと早く
治ってたのに
言い出せなくて…
ごめんなさい
うるかの告白を聞き、気持ちがバラバラになってしまったあの日から、この日に至るまで、言う機会もなかったんでしょうね。この場で、ようやく伝えることができました。
もっと一緒にいたかった。
だからついてしまった、「嘘」。
しかし、うまいなあ、と思ったのは。この「嘘」を告白することで、
なぜそんな「嘘」をついたのか?
と成幸に考えさせることができたことです。
副次効果でこんな心の動きを引き出すとは。
…それって
どういう---…
という成幸。
可能性の問題ですが。
文乃にその意図はなかったにせよ、勘のいい人なら気付けたかもしれない。自分と一緒にいたいと思ってくれたから、そんな嘘をついていたのでは?…と。それが好意ではなくても、ある種の親密さは持っていてくれたのでは。
成幸は朴念仁で決して勘のいいタイプではないけれど。どうもここでは何かに気づいたような気がしなくもないです。
だからこそ、文乃に成幸の超重大な相談をすることに繋がった、そう思いました。
どうでもいいことですが、わたしはここで、あ、成幸は文乃が好きなんだ、と気づきました。
繋いだ手は
古橋文乃は握りたい。
成幸が差し出したカイロ。文乃は、そのカイロごと、成幸の手を握ります。おそらく、ただ握るよりも、少しだけ強い力と。たくさんの想いを込めて。
一連の大切なやりとりが交わされるわけですが、手を離した描写がないので、ここはずっとお互いが手を握りながら話をしていたと推測します。
その手の熱は、ほんとうのもの。
恋をする、2人のものでした。
古橋文乃は「即答」する
自分の心のもやもやを成幸は文乃に相談します。
俺最近…
ある人のことが
どうにも気になっているみたいで
…朝起きて
その人のことを考えて
飯くってる時も
勉強している時も
その人のことを考えて…
文乃が好きな人なら、思い出したと思います。
問143で、文乃が成幸に抱いていた、強い強い片想いの描写を。それと対をなす、強い想いです。
少し、わたしは感情的になりました。時間軸を超えて。ここでは成幸が文乃に想いを寄せているんだから。うう…。
文乃はそんな成幸に。
「恋だよ」
恋をしているんだよ
成幸くんは その人に
どうしようもないくらい
そう、答えます。
おそらく。本当に、反射的に、ノータイムで返事をしたんだと思っています。いわゆる、間髪入れず、というやつ。なぜでしょうか。一つには。自分も、そうだから。朝起きて。ご飯を食べて。友達と笑いあいながら。勉強しているときも。そして、夢の中でさえ。文乃は成幸のことを考えていた。そんな片思いと同じことを、成幸は話している。だからこのことの切なさがわかり。共感でき。即答できた、のだと思います。
ここでの文乃の「笑顔」。また、綺麗です。少し大人びたようにも見えませんか?静流の面影に似せているような。成長した、というように。
一つ、文乃は思い違いをしていますが。
成幸の相手が、武元うるか、であるということ。
成幸がうるかの告白を断っていたなんて、知りようがないですし、まさか自分が、なんて思いもしてなかったでしょうから。
一つ補足。
成幸の口述の中で、
勉強している時も、
とあります。
受験は終わり合格にいたり、勉強はもうないはず。なのにこんなことを言っている。勉強がまだ存在していた頃から、文乃を意識していた。そう思いました。
なぜ、「古橋文乃」なのか
成幸は、相談をなぜ想い人、文乃本人にしたんでしょうか。これは少し悩ましい。恋愛上級者なら(知らんけど)、好きな人を相談相手にしてなんとなく匂わしながら距離を縮めにかかる、という大技がある気もしますが、まさか成幸がそんなテクニックを使うとも思えない。
純粋に相談相手として聞いてもらいたかった、これがストレートな解釈かもしれません。
文乃に恋をしている、と言われて成幸は随分狼狽します。
恋をしている相手、その人に、自分の気持ちがバレてしまった、伝わってしまったのではないか、そういう焦りに見えました。
でも、そうは、なりませんでした。
成幸とうるかが結ばれた。そう思っている文乃は、優しく、成幸を突き放しますから。
唯我成幸の、「恋」
さっきの小見出しをリフレインします。
なぜ、「古橋文乃」なのか。
正直、これまで成幸が文乃を意識していたような描写は、ほとんど皆無。強いて言えば、直前の回での数コマで、成幸は文乃に何かしらの関係性を求めているかもしれない、それくらいがわかるくらいでした。
唐突といってもいいんですよね…。成幸、実は文乃を好きだった問題。いくらなんでも、残りの話の中でそこは丁寧に描いてもらわないと、このまま2人の関係がうまくいってももやもやはしそうです。
しかし。
成幸の片想いの強さがわかって驚いてもいます。だって、文乃と同レベルですよ?成幸が無防備な姿をさらしていたら、キスをしかけた、そんな文乃と同レベルってことですよ?けっこう、危ないレベルだと思うのはわたしだけかしら。
うるかルートの場合は、うるかの告白を受けて当初は戸惑っている部分もありました。いろいろなことを乗り越えて、うるかへの気持ちを確定させていました。
理珠ルートの場合は、ゲームが発端。寂しそうな成幸を「見つけてくれた」理珠に、1発KOされました。
文乃ルートはまだわかりませんが、普通の恋愛、みたいだな、というのがいちばんの感想です。特別な舞台装置や、特別なイベントがあるわけではない。そんな2人の物語だなあ、と。
山小屋での一時。2人とも素直に。
文乃と成幸。山小屋での一時がなければ、お互い気持ちを伝え合うことはなかったんでしょうね。
すれ違うことになりはしましたが。
シチュエーションが、お互いを素直にさせた。そう言えそうです。
すれ違う理由。唯我成幸の場合。
成幸の現状認識。
自分は、武元うるかの想いに応えられなかった。傷つけてしまった。
そんな自分が、好きな人と一緒にいたいなんて思っていいわけはないし、ましてや、そのことが実現するなんて考えてはいけない。
それが文乃を追いかけきらない成幸の理由になる。
すれ違う理由。古橋文乃の場合。
文乃の現状認識。
成幸はうるかに恋をしている。そして。うるかが成幸に告白した以上、二人は結ばれている訳で。
そこに割って入ることなど考えられない。
それが成幸の想いに気づかない理由になる。
『好きな人ともっと一緒にいたい』
皮肉にも、文乃と成幸が最後に実は共有していた想いです。
ここ、星空が、背景なんですよね。
2人の想いが叶いますように、という願掛けにも、わたしは見えました。
また、静流の星が、あたたかく文乃を見守っているようにも。
今回のオーバーラップ。
山小屋で毛布を押し付け合う二人。
問113と近い構図です。占い回でのトラックの中。寒さで震える文乃に、成幸が文乃を案じて、自分のコートをかけようとします。成幸に寒い思いをさせまいとする文乃。二人の間で一悶着あった結果、成幸のコートを二人で共有して寒さをやり過ごすことに。
成幸の片思い。
…朝起きて、からの心の在り方は、
問143での、文乃と同じもの。片思いの真髄でした。
個人的に思う古橋文乃の宿題
武元うるかはどうする?
文乃にはうるかと理珠に向き合ってほしいというのはずっと思っていました。なんだかですよ。このままそれさえスルーになりそうな気持ちさえしてきました。それでよいのかなあ。絶対ダメな気がするんですけどねえ。
古橋文乃の勇気は?
文乃には変わって欲しいとずーっとずーっと思ってきました。
彼女には強さがいるんです。
好きな人に好きだと伝える勇気が。
自分には好きな人がいることを友達に打ち明けられる勇気が。
文乃の変化がないのならば、少し味気のない物語になってしまうと思ってはいます。
バットを強振してみる
文乃のスマホが壊れましたね。卒業旅行、次の舞台は水族館になりそう。連絡がとれなくて、というアクシデントはありそうです。文乃を探す成幸が、「見つける」こと。当たった試しがない展開予想です。
あと。冒頭、スキーで倒れた成幸を、うるか、理珠、小美浪先輩が囲む中、文乃は一人その場をあとにします。それに気づいたのは、成幸と、理珠。意味深です。理珠が次回のキーパーソンになるかもしれません。
古橋文乃は「誠実」なのか
端的に言えば、文乃はこれで成幸とうるかの恋を応援しきったと言えると思っています。わたしの極論を述べてしまうと、「この先」の話については、文乃はフリーハンドで行動できる。うるかへの仁義さえ通せば。それをクリアすれば、わたしは、文乃は「誠実」だと、十分言えると思います。
繰り返しになりますけれど。
メガトン級の「転」回。
びっくりしてますよ、いまだに。
文乃の一人称がメインだったところに、成幸の重要すぎる一人称。ここにいたり、主人公、ようやく動き始めました。
さあ、どうなるか。
見守りたいと思います。
この項、以上です。