一言総括。古橋文乃の永遠の幸せを願います。
ファーストインプレッション。ひたすら明るい回で…よかった。ずうっとシリアスでしたから。なぜ明るい回がいいかというと、文乃のくるくる変わる表情が活きるからです。明るく元気な本来の文乃、そして何より、成幸と結ばれてより一層幸せになれた文乃がたくさん見ることができて…。うん、感無量というのか。言葉で表現しづらいですね…。以下、そこを頑張ってみます。
【物語を楽しめた理由】
ぼくたちは勉強ができない。わたしの浅く狭い漫画歴ではありますが、一番楽しんだ作品になることに間違いはありません。なぜ楽しめたか。思い入れを持てたからです。思い入れとは何か。それは、あるヒロインの幸せを心から願うようになったから。
古橋文乃。
人の心の機微に聡いはずなのに、自分の恋となると不器用すぎて。臆病で。だけど優しくて。愛は深くて。
そんな彼女が大切になり、幸せになってほしいな、と思うようになりました。
そうすると。彼女の出番が。彼女の個別回が。彼女のルートが。それぞれどれだけわたしにとっての糧となったのか、皆様の想像に難くはないかと。そうそう、出番がなくても、この時文乃はどうしていただろう、と考えることもありましたね。
その分、うるかルート終盤では正直辛い思いもしました。恋が叶わなくてもしょうがない、だけど想い人に告白することすら許されないのか、とか。本当に、真っ黒い心になってました。
マルチエンドということで、文乃が幸せになる世界線がある、ということがどれだけわたしの心の救いになったことか。
良かった…。
本編、そして、文乃√を、世界で一番振り回されて楽しんだぞ、という自信はあります。
【似ている2人】
唯我成幸と古橋文乃。
お互い似ているよね、という描写が多かったです。ヒロイン、うるかも見通していました。2人とも、似ている。
今回も。
久々のデートで、距離を縮めたい(だけと難しいかも
とか。
あんまり自信ないけど頑張ってみようかな(成幸は水泳を、文乃は水着姿を)
とか。
似たもの同士のカップルで、似たもの同士の仲の良い夫婦になってほしいです(時期尚早感
【怒涛の伏線回収】
お兄さんとは絶対にそんな関係にはならないから(問86)
→水希と一緒にお風呂に入りながらの文乃のセリフ。まあ、なってしまったわけで…。そりゃ、水希からすれば嫌味の一つや二つ(まあそんなものでは、すんでなさそうですけど)いいたくもなるのはわかります。。
料理できない、の克服(問37)
→初出は問37。じゃがいもの皮むきすらでけへん。というぽんこつさを披露していた文乃。しかし、天敵と思われていた水希のおかげでそれを克服。ライバルが味方になる…。熱い展開じゃないですか?(少し違う?
はぐれる2人(問38)
→縁日。成幸とうるかと2人っきりにするために、自分からその場を離れた文乃、ということがありました。文乃が自分から離れた場面。
今回は違います。
離れたくないけど離れそうになってしまった文乃を、
しっかりと成幸が引き寄せて、
2人手を繋いで、
「これならずっと…一緒だね」
もうね、これだけで悶えますね。
ファーストキスはレモンの味(問69)
→着ぐるみキス。とはいえ、中の人が誰だったのか気になるのは乙女ですから、しょうがない。
そこで、文乃のファーストキスだったわけですけれど、レモンの味だってしなかったし、との台詞があり。そのことが伏線としてしっかり拾われたわけです。
愛してるゲーム(問55)
→正直わたしの中で意味不明度が高いお話の一つだったんですが、この伏線が完璧に活かされてましたね。あの時は文乃から言いかけて言えなかった言葉。今回は成幸から「愛してるよ」、続いて文乃からの「愛してるよ」。素晴らしい解でした!
静流の言葉(問88)
→数式の素晴らしさを零侍に語りながらの静流の言葉。
「こんなに愛しいことはないと思わない?」
そして。
天文学と絡めた文乃のモノローグ。
「こんなに愛おしいことはないと思わない?」
支えてくれるパートナーを見つけた、静流、文乃。ともに相手にかけたい言葉なんですよね…。感動。
でも。微妙に一言一句一緒ではありませんでしたね。愛しいよりも、愛おしいのほうがより深い感じかな?(印象論です。。
【小ネタ】
水希、冒頭で「文乃」呼び。成幸より早いやん!料理を教える間に距離が縮まっていたとすると、それはそれで微笑ましい。
【星の数ほど人はいて】
もし、どこか別の世界で
星の数ほど別の人生があったとして
色んなわたしの
色んな可能性があったとして
そんな無数の選択の末に
今この瞬間があったとしたら
ねえ
こんなに愛おしいことはないと思わない?
星の数ほど人間はいて、同じくらいの出会いがあり、そして別れすらある。
そんな無限の可能性の中で………。
古橋文乃は唯我成幸と出会い。思い出を重ねて。お互いが恋に落ち。自らの弱さと向き合って。友人の助けを借りて。踏み出して。お互いが勇気をもって告白をして。そして、結ばれました。
天文学的な奇跡、と文乃は表現していましたが、そうだと思います。両想いになるのは、それくらいの偶然を乗り越えて必然にしなければいけませんから。
古橋文乃と唯我成幸の2人の幸せは、必然になったんです。
あー、大したことを書いてるわけではないんですが。書きながら泣きそうですよ、わたしは。
無数の世界の中で、結ばれた世界を見ている…非才なりに言葉を尽くしますが、簡単に語り尽くせませんね、この心境は。そのこと自体がわたしの、誇り。それだけ思い入れがあったことの、証明だから。
星の数ほど作品もあります。その中での登場人物たちも。
わたしも、古橋文乃も出会えた奇跡に、感謝したいと思います。
流星群の祝福を、彼女と、彼に、贈ります。
【本当に好きなら】
ハチミツとクローバーという漫画に、山田さんというヒロインがいます。この子は、すっごく美人で男の人にも大人気なのですが、ずっと片思いをしている人がいます。そして、その人が自分でない別の誰かを好きなことを知っている。片思いの鬼です。
そんな、彼女の独白。
「本当に好きなら
幸せを祈れるはずなのに
私は さっき
車の中で言われたとおり
ほんとは・・・・・・
こわれちゃえばいいって
ずっと・・・
ずっと・・・」
わたしは、このセリフが大好きです。片思いが強ければ、本当なら、まっすぐなら、こんな思いだってあるはずだから。
わたしが恋愛を考えるときにこのセリフは常に頭の片隅にあります。
古橋文乃はどうだったか。
うるかルートの最終版。
文乃は、うるかの元に向かう成幸の背中を押しました。目の前で、うるかへの強い想いを吐露する成幸に対して。泣き笑いをしながら、応援を宣言します。
この時の文乃の心情はこれ以上わかりません。このあとだって。わたしは文乃が好きです。でも、だから聖人君子でいるべきとは思わない。だって、人間なんだから。矛盾する、相反する感情を持ち合う、そんな、生き物なんだから。
だから、何がいいたいかと言うと。文乃も、冒頭のような思いを少しでも抱いたことはないと言い切れるのか、ということ。
わたしは、あっていい、と思います。
つらつら、なんの話を述べているのかと言えば。
だから。だからこそ。この、世界線で、文乃が成幸と結ばれたことの奇跡の価値に、わたしは心から感謝をしているということなんです。
人間の生の感情…。いろんな要素に左右されること多々。
そんな連続、左右に大きく振れる中で得た、古橋文乃の『ほんとう』。
だから、だから、だから、わたしは、泣くことでしか、これ以上いまの気持ちを表現する術を持ち得ません。
【文乃√より前のこと】
文乃の個別回、大好きでした。全てではないけれど、そのほとんどは覚えていると言っても過言ではありません。文乃√があることを知らない頃でももちろんそれは同じ。たくさんの幸せを、そのたびにもらったものです。
問39。旅館お泊まり回。
文乃の心の柔らかい部分。それを成幸が優しさで包み込み。文乃の恋が少しずつ動き始めたところだと思っています。起承転結すべてが完璧な、素晴らしいエピソードです。
問58。台風デート回。
文乃と成幸の心の距離が伸びたり縮んだり。文乃の成幸への呼称でそれはわかります。でも。成幸の。デートみたいだな、の一言で文乃の心は一気に傾く。成幸側へと。
問85から問89。いわゆる文乃長編。
名シーンの塊。化物ストーリー。
新婚みたい、お嫁さんになるのが夢、星空デート、応援宣言、文乃(&成幸)vs零侍、静流のメッセージ。そして、「起きてる」。最短まっすぐな、文乃から成幸への小さな、でも力強いアプローチ。
問136。文乃の成幸への恋心が溢れ出てしまう回。文乃はこれ以降、逃げられなくなる。この回だって、もちろん大好きなんですが。文乃√には直結しない。もう、一つの文乃の恋の可能性です。幸せにならない、とまでは言いません。
文乃√がわかるまでは。問136での、文乃の本当の意味での恋心の自覚は、とてもとても遅かったので、間に合うのかな、という焦りを覚えていたことは今でも忘れません。トータルで言えば、うるかのほうが優勢な雰囲気だなという印象はあったので。本編は、そのままうるか√へ。わたしは毎週真綿で首をしめられるがごとく、毎回うう、うう、うう、となってました。
文乃√が、文化祭のジンクス&問89の起きてるで文乃の恋を自覚させたのは、やはり、理に適ったものだと思います。
【最後に】
わたしのスタンスは、終始、
文乃に寄り添うこと
です。
目指したのは、文乃の異性の親友ポジション。
例えわたしの感想が、筒井先生の思っていた意図と異なるもの(試験的に言えば不正解と言えるかもしれない)でもまったく構わなくて、徹底的に文乃に寄り添って、彼女の想いをトレースしたかった。時に厳しく、時に優しく。
わたしには、文乃に「正しい恋愛」をしてほしいなんて意図はさらさらなくて。ただ。
文乃には、
「恋をして、幸せになってほしい」
これだけが、願いでした。
だから、文乃ルートの最終回を無事迎えて、読み終えて。
ああ、わたしが大切に思ってきた文乃は幸せになれたんだ、そう心の底から思えて、なんだか不思議な気持ちなんです。
安堵とともに、誇らしいような。
みんな、この幸せな文乃を見てあげて!というような。
このスタンスを貫けたからこそ抱けたこの想いを、わたしは生涯忘れられないでしょう。
この項、というか。文乃√に関するわたしの拙い感想たちは、これでおしまいです。この拙文、殴り書きを読んでいただいた皆様には感謝しかありません。
ああ、さとう氏は、古橋文乃が好きなんですね、そのことさえ伝わっていれば、これにまさる喜びはありません。
わたしは、古橋文乃と出会えて本当に幸せでした。同じように。文乃が好きだな、と思っている方々と文乃の幸せな結末を見届けられたこと…。
このこともまた、幸せ以外の何事でもありません。
わたしの人生は、古橋文乃のおかげで、ある意味とても豊かにしてもらえました。
ありがとう。
最大限の感謝をするとともに。
貴女のこれからの愛を、心の底から応援し続けます。
皆さまにも、たくさんのありがとうを。
物語で幸せが広まりますように!
(おしまい)