古橋文乃ストーリーズ〜流れ星のしっぽ〜

「ぼくたちは勉強ができない」のヒロイン、古橋文乃の創作小説メインのブログです。

さとうは[x]の道筋に懊悩し驚嘆し感涙し歓喜するものである。(1/9)

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【アメブロに掲載していたものを加筆修正しました】


いよいよ、文乃√が始まりました!
ツイッターでは書きたいことが書ききれなくなったので試しにブログでまとめてみました。読み物風。少しでも楽しんでいただく一つのきっかけになるととても嬉しいです。

一言総括。ロケットスタート。

冒頭。いきなりの、文乃屈指の名シーンから。問89。「起きてる」。10年向き合えなかった父親とようやく対峙し、夢を認めてもらった後のことです。頑張った文乃は、母の言葉、支えてくれる、そんな素敵な人に出会える日がきっとくる。それを噛み締めていました。そんな彼女の隣にいる、『鈍感でちょっと頼りない弟みたいな優しくてまっすぐな男の子』。唯我成幸くん。彼女がそう呼ぶ彼が、文乃を強くした。そして、支えてくれたのです。

そんな彼に。文乃は、身を寄せます。彼女の意思で。そして、寝ちゃったのか、の彼の問いに対して、答えます。それが冒頭の

「起きてる」

です。わたしは、もう眠ってない。わたしは、あなたの隣にいる。そして、自分の意思であなたに寄り添っています。それを伝える言葉でした。

文乃は、成幸への好意はずっとありました。いつのまにか、抱いていた好意。それは、恋を応援しているうるかと理珠への遠慮がセット、でした。だけど、この時ばかりは、その描写はありません。どれだけまっすぐに、最短で、成幸に間接的に想いを伝えたかったのか。その強さが、垣間みれた一瞬です。

そこからの、大きな大きな分岐がありました。

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きっかけは、些細といえば、些細。文化祭のジンクス、後夜祭の花火が上がった瞬間に、手が触れ合っていたこと。文乃は倒れた成幸を助け起こしていたのです。文乃はジンクスのことをしっていて、きっと、かなりの勇気をもったアクションの結果だったんだと思います。


文乃の中で、それはずっと心に残っていて。成幸に想いを寄せ続けてもいいんだ、そんな拠り所になっていたように思います。そんな小さなことで、文乃の恋は前に進んだ。心の描写が細かくて丁寧です。


だからこそ。自分に素直に、思うままに、成幸に寄り添えたあの日、続けて聞きます。同じく、文乃の中でずっと大切にしていた思い出のその先の、答えが聞きたくて。

縁日の旅館で共に過ごした夜。文乃の手を、成幸は握っていました。なぜか。

それは、問136とおそらく同じだったのでしょう。自分も亡くなった父親の夢をよく見て泣いていたこと。そして、同じようなことで涙を流していた文乃のために、気休めかもしれなくても、手を差し伸べたかったから。

文乃が成幸への想いを認識してしまうには、この寄り添う成幸の優しさがトリガーでした。

相互さんとも話をしたのですが、問136は文乃ルートではおそらくこれに吸収される扱いになったのかと思われます。全ての√での文乃を愛すべし!の立場なので、あのエピソードの儚さもまた素晴らしかったのですが、これで余計にそのことが引き立つものになったと思います。

ちなみに、問136は文乃単独回のエピソードが回想として使われています。あの時から不思議だったのですが、長編より後のエピソードは盛り込まれていなかったんですよね。何がいいたいのかというと、問89時点と合流させても大きな破綻はないようにできていた、ということです。恐るべし。

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また、一つ言及せずにはいられない点。成幸への好意が溢れ出したその時。問136では。すき、でした。問160では、好き。根源的な、すき、の言い回しが大好きでしたが、何が違うのか。前者は、指向性がない、溢れ出てしまい、コントロールもできない、マグマみたいな想いのイメージ。とめられない。後者は、もう少し指向性があって、溢れてはくるもののコントロールはなんとかできる、水のような想いのイメージです。この違いだけで、文乃の片思いの在り方の変化をつけようとする。こういう細かな気配りは、本当に嬉しいし、素敵だと思います。筒井先生、さすがです。

さて、ここで。文乃は、恋をしてしまった自分に、どうしようと語りかける人は、お母さんでした。彼女の恋は、友達であるうるか、理珠にはとても相談できるものではない。成幸にだって。一番相談したかった人の名前だったんだと思います。静流がこの先、なんらかの形で文乃の恋に関わってくるのは間違いなさそうです。

ここで10月を恋に落ちた日にすることで、高校生活での文乃の恋の決着がつけやすくなりましたね。恋に落ちてしまったことを認識して、文乃の片想いはようやくスタートしたわけで、理珠、うるかとの競争のスタートラインに立てる。うるかルートではそれはバレンタイン直前、あまりに遅すぎましたから。

そして、少し時は進み、1月。
ここに至るまでの個別回は生きていて、文乃は着々と成幸への好意を募らせていたことは想像に難くありません。成幸への想いのあまり、これまで見られなかった妄想という形でそれは垣間みれますから。ただ、わたしはこれは嬉しかったですね。

問136の後の、文乃の片想いは文乃推しから見ていても危ういものでした。拗れて、成幸にキスをしたくなってしまう、そこまで追い込まれていましたから。キスしたいというのは健全です。好きなんだから。だけど、ここでわたしがストレスだったのは、文乃の独りよがりでしかない行動だったこと。成幸の気持ちは一切考えられていませんでしたから。

一方。問160における妄想は、ある意味健全な片想いの産物。好きな人にこうしてほしいな、そう自然に思えるそのことが、誰にでもある、普通の片想いであることの証左で、ほっとしました。
もう一つ。成幸の顔が見たくて遠回りすること。うん、可愛いですね…片想いしている、極めて普通の女の子の行動です。

さて。センター試験が、またしても、大きな分岐点にもなりました。子犬くん…今回もやらかしてくれますが。彼のせいでピンチになった成幸を助けたのが、今回は文乃になりました。ここでの成幸の助け方は、文乃らしかった。心の中で成幸の名前を呼びながら、さっと自分の身を投げ出します。他人を大切にするけれど、自分の扱いは雑にしてしまう。そんな彼女の危うさと表裏一体の行動でした。

うるかと文乃。ここの分岐で2人の対比につながるような気がしてしまいますね。うるかルートでは成幸の支えになったうるか。文乃ルートでは成幸に支えられる文乃。

文乃は成幸に肩を借ります。思わず成幸に(彼もそんな意図ではないにせよ)肩を抱き寄せられて、またまた好きになってしまいます。きゅうっ、という擬音が素晴らしい。文乃の心臓が鷲掴みにされてしまったことがよく伝わります。

また。素晴らしいのは、

「成幸く…」

と、文乃が名前を呼びきれないこと。どれだけ胸がいっぱいになってしまったのか、これだけで十分伝わりすぎてしまいます。


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このことは、また文乃の大切な思い出になり、思い返しては嬉しくなることに。微笑ましいです。

そこから、成幸の通い婚(?)スタート。長編では文乃が成幸宅に押しかけていたので、それの対比になるでしょうか。

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お前の足が治るまで。俺がずっとそばで…古橋を支えてみせるよ!
…….…はい。
のくだりは、よかった。

成幸、片手で女の子を抱きしめながらその発言はいかんよ。ときめかないわけないじゃない。

文乃、押し切られる!

2人への遠慮があるけど、距離近いし支えてくれてるし頼れる男の子たる成幸への返事。しょうがないですよね、うん、しょうがないのっ!

さて、この項、以上です。

次回が、さっそく楽しみです!


おまけ

文乃の恋における『呪い』。成幸への気持ちを寄せる度に、文乃は理珠とうるかへの謝罪の念を持ってしまう。これが避けられない、辛い状況です。いつまで続けなあかんねん!というのがわたしの正直な想い。

文乃√での、この呪いの解除とは、どういうことが考えられるのでしょうか。

一番理想的なのは、成幸への気持ちの伝える前に、理珠、うるかと向き合って、自分の気持ちを打ち明けることです。文乃の勇気が必要なんですが、これなくして文乃の呪いは解けないし、前にも進めないでしょう。王道ですが、このくらいの緊張感は避けて通れない。文乃の本当にできないこと、自分の想いを素直に誰かにぶつけること、だと思っているので、このことはきれいに克服してほしい。

最悪なのは、成幸と先に結ばれてしまうこと。そうなると何を言ってもいいわけになってしまうので…。泥沼になりますが、人間ドラマとしてはなくもない、のか??


おまけのおまけ


Twitterアカウントと連動させてアメブロは書いていたので、Twitterアカウント削除に伴いこちらに書き直すことにしました。